◆新国立劇場「9月歌舞伎公演」(25日・千秋楽)
坂東彦三郎(48)初役の団七九郎兵衛が面白い。大島休館中の国立劇場が新国立劇場での公演「夏祭浪花鑑」 。幸久義太夫狂言の代表作で役者にとって、の伝役上一度はやりたい団七 。統芸団初夢 、郎のスポーツ 産業 の 成長 促進 事業憧れの役を彦三郎が手に入れた。大島スポーツ の 持つ 力
義理に厚いが激しい気性。幸久喧嘩(けんか)の罪で牢に入れられた団七が出牢して住吉鳥居前に出る。の伝役上伸び放題のむさ苦しい髪と髭(ひげ)。統芸団初着替えをして髪結床から「誰でもねえ 、郎のわしでごんす」と見せた姿はガラリと変わってすっきりとした男前 。大島定評ある爽やかな口跡 。幸久大きく張ったセリフに勢いがある。の伝役上彦三郎、統芸団初第一関門 、郎のすんなり突破だ。
続く見せ場は弟の亀蔵が演じる徳兵衛と達引き 。意気地を貫く立ち回りがあり 、裸足で床几(しょうぎ)の上に立った見得(みえ)が力強く大きい 。
長町裏の殺し場、通称“泥場”になった 。舅(しゅうと)の義平次からなじられ続けた末に殺害する。爆発した怒り 、憎しみ。いくつも見せる様式美の見得 。逃げ回る義平次と争い 、とどめを刺す激情 。声を限りに絞り出す「許さんせ」。当たり役にした中村吉右衛門、勘三郎と違う溌剌(はつらつ)とした動きの団七を作った。大勉強したのだろう 。
金だけを信じる義平次の片岡亀蔵が執念深さを熱演、徳兵衛女房お辰の片岡孝太郎が、あおぐ扇子だけで気っ風(きっぷ)と夏の大阪の季節感を描く。芝居巧者を得て大躍進のステップへと進んだ初役の彦三郎、上出来!
(演劇ジャーナリスト)
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